風のソナタ

エレナ・ポータ-の「スウ姉さん」を村岡花子訳で読んでいて、初めて読むはずなのに、「この話、知っている!」と思った。
一度読んだことをすっかりと忘れていたのではなくて、大好きな原ちえこのマンガ「風のソナタ」のにそっくりだったから。
まあ、登場人物の名前や設定が多少違うので、「スウ姉さん」は「風のソナタ」の原作ではなくて、原ちえこが「スウ姉さん」の影響を受けて「風のソナタ」を描いたのだろうけれど、それにしても、後から読む方は新しさを感じられないところが残念。

|

思い出のマーニー

ジブリのアニメになるということで、本屋では平積み。
昔と今がつながる設定の小説はたくさんあるけれども、この小説のいいところは、主人公のアンナも、マーニーも、決して「いい子」や「素直な子」には描かれていないところだと思った。
内向的な子供のぶっきらぼうさは、現実世界ではなかなか理解されにくい。一人で過ごす時間を心地よく感じる子供の気持ちを理解せず、「友達がいなくて孤独で寂しい」と勝手にレッテルを貼る大人の、なんと多いことか。

|

景福宮の秘密コード

韓国ドラマ「根の深い木」の原作「景福宮の秘密コード」(原題:根の深い木)を読み終わった。
「風の絵師」と、原作の作者と、ドラマの監督が同じだから、「風の絵師」みたいに、ドラマそのままの世界なのかと思っていたのに、かなり違う世界だった。
「密本」という秘密結社はドラマのオリジナル。カン・チェユンとソイが幼馴染という設定もドラマだけのもの。だから、人物本位で見ていると、設定や展開が原作と違うので、原作とは全く違う作品という印象があるけれども、最後まで読んでみると、原作が伝えたかったことと、ドラマが伝えたかったことは、一致しているのではないかと思った。
ドラマもいい出来だったけど、原作も次の展開をドキドキしながら読み進んでしまうような秀作だった。

|

風の絵師

ドラマは以前に視聴済。今回は、ドラマの原作である「風の絵師」の小説を読んだ。読んでびっくりしたのは、ドラマのノベライズではないかと思ってしまうくらい、ドラマの世界と一致していたこと。ドラマが韓国で放送された時に、そのラストについて賛否両論が語られたということだけれども、ラストまで小説の世界を忠実に再現してみせたドラマは、すごかったと思う。

|

台所のオーケストラ

高峰秀子の「台所のオーケストラ」。文春文庫のかわいらしい表紙絵が好きだった。夏頃、新聞の出版広告でこの本を見た。え? すでに文庫化されていたと思うけど? と思いながらよく見てみたら、出版社を変えて新潮文庫からまた出版されたらしい。文春文庫版よりも若干お値段が安い。中身は同じ。でもねえ。そもそも私が「買おう」と思ったのは、平置きになっていた表紙をみて、かわいらしかったからなんだけど。

|

ツナグ

辻村深月の「ツナグ」

「yom yom」を愛読していたので、「yom yom」誌上で連載されていた時に初めて読んで、単行本化されるのを待っていた。単行本化された後は、数年すれば文庫本になるだろう(なにしろ、新潮社だから)と思っていたら、このほど映画化されて、それにあわせて文庫化された。

あの世の人とこの世の人をツナグ役目を祖母から引き継いだ高校生の男の子と、その最初の4人の依頼人それぞれの、あの世に行った人との話。あの世に行った人と「死者(ツナグ)」に仲介してもらって一晩だけ会うことができる。そんなことができるのなら、もう一度会って話したら誤解が解けるのでは、とか、何かがわかるのでは、とか思うけれども、会って話した結果がいいとは限らない。救いになった人もあれば、悔いが残った人もいて、なんだかいろいろ考えさせられる小説だった。

樹木希林は演技達者な女優さんだし、主演の松坂桃李くんもなかなかよさげで、原作のイメージが損なわれる心配はあまりなさそうだけれども、小説がとても好きなので、今のところ、映画は見ないでおく予定。

|

目からハム

この本を読むまで、連続ではずれくじをひいた最高記録は、私の知る限りでは、母の十九回だった。ある年末のデパートのくじで、十九回もくじをひくチャンスがあったのに、ことごとくはずれて、残念賞の「ふりかけ」を十九袋持ち帰って家族を呆れさせた。この本の著者、田丸公美子さんは、なんと三十八回もはずれくじをひいたというのだから、さらにすごい。もっとも、こちらは残念賞の品はポケットティッシュだったそう。母のも、ふりかけではなくてティッシュだったら、家族にもっと喜ばれたのに。

この本は、著者がイタリア語通訳をしていて見聞きしたさまざまな事が綴られているエッセイ集。
「人ごとではない。でも、誤訳は楽し」。ホントに。楽しませてもらった。予想外の可笑しさで、真夜中に大声で笑ってしまった。家で読んでいたところでよかった。電車の中で読んだら、笑いをこらえるのに苦労したか、いきなり高笑いしてアヤシイ人になるところだった。

目からハム シモネッタのイタリア人間喜劇 (文春文庫)

|

告白

湊かなえの「告白」という本を読んだ。
映画にもなったらしいけれども、この本の世界を映像で見たいとは思わない。
でも、この作品は、すごい作品だと思う。

一つの事件(出来事)がきっかけになって起こった複数の出来事(事件)。
6つの章で、それぞれ語り手が違い、個々に違った立場からの「語り」なのに、読んでいる側はいつの間にか、一連の事件(出来事)の全貌が「見えてくる」。
ただ、「語り手」は、自分の目線から語っているだけに、自己擁護のために事実を自分に都合よく解釈している点もあることを考慮に入れると、「語られていること」が「真実」かどうかは確信できない。だから、「見えた」と思っているものが「真相」かどうかは、読み終わっても断定できない。追及しても、定まった「正解」に行きつくことはない。その奥深さが、すごいと思った。

告白 (双葉文庫)

|

3月のライオン

羽海野チカのマンガ「3月のライオン」。
昨年末に、本屋で最新巻の第5巻 が平積みになっていたのを見た時、ふとその表紙の絵が気になった。
惹かれるままに、第1巻から買って読んで、すっかり虜になった。
まだまだ物語は続くけれども、第5巻に収録されている、ひなちゃんが学校で集団いじめにあうエピソードは秀逸だった。
仲間はずれにされてひとりぼっちの時間をすごした経験がある人には特に、この作品を第1巻から読むことをおススメしたい。
主人公のれいくんが、学校でひとりぼっちになってしまったひなちゃんが泣きながらもきっぱりと言い切った言葉を聞いて、「全く違う方向から、嵐のように救われた」ように、心を満たしてくれる何かがある作品だから。

|

図書館ねこデューイ

日本では、よくワイドショーなどで、ネコの駅長さんとか、お店の看板ネコとかをとりあげているけれども、この本のデューイ・リードモア・ブックスという立派な名前のついたネコも、同じような類かなと思う。
著者のデューイに対する愛情がよく伝わる本ではあったけれども、ネコが好きだからという理由で手にとる本ではないように思った。

図書館ねこデューイ 町を幸せにしたトラねこの物語

|