パク・ヨンウさん出演映画数点

韓国映画は、私の好みにあわないものが多いけれど、最近、パク・ヨンウさんの出演作品をいくつか見た。

「甘く、殺伐とした恋人」
ヨンウさんは恋に不器用な男の役を好演しているとの評判で、たしかにそのとおりだったけど、映画そのものは「殺伐」の部分が私にとっては恐怖だった。

「The Phone」
オム・テウンとの共演だということで、けっこう楽しみにしていたけど、オム・テウンもヨンウさんも演技が達者すぎて、日常の中で起こりえる狂気のようなものを、あまりにもリアルに演じていたために、なんだか怖かった。

「ビューティフルサンデー」
のどかなタイトルに加えて、日本版パッケージ写真がナムグン・ミンが女性を背負っているいかにも「青春」なものだったので、てっきり心温まる作品かと思っていたのに、内容はサスペンスで、実に救いのないラストだった…。

「カエル少年失踪殺人事件」
実際にあって、いまだ犯人がわからない事件をベースにした作品。事実の再現や訴えたいことははっきりしていてよかったけれど、ヨンウさんの役は100%フィクションで、フィクション部分だけが浮き気味だった点が、ちょっと残念。映画のメッセージははっきりしていて、価値のある作品だとは思ったけれど、残念ながら私好みではない作品だった。

「わたしの小さなピアニスト」
ヨンウさんは、ピアノ教師の主人公に恋をする純朴なピザ屋店主の役で、素のままではないかと思うくらい自然体でよかったし、映画のタイプも私好みではあったけれど、作品としてのクオリティーはいまいちと感じたのは何故だろう。主演のオム・ジョンファの演技も悪くはなかったのに。

「ワンス・アポン・ア・タイム」
実に楽しい娯楽映画だった。演出はテンポよく小気味よく、壮大にバカバカしいところが、逆にすがすがしい。終戦の頃の朝鮮に時代設定してあるので、下手な日本語を聴かされるけれど、深刻な反日表現があるわけではないし、楽しく見ることができた。

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風立ちぬ

宮崎駿の長編アニメ映画「風立ちぬ」を視た。

先に見た人に「どうだった」とたずねると、みんな「うーん……」と言葉少なくなり、映画館で見た人は「宮崎アニメだからと言って子どもが沢山来ていたけど、みんなポッカーンだった」と言っていた理由が、見て初めてわかった気がする。
これは、大人の映画。昭和を生きた人のロマン。子どもが理解するのには無理があったはず。テーマや内容から言えば、実写でもいい感じの作品だったけれど、飛行機の飛翔感は十分に表現できなかったような気もするし、実写ではもっとシリアスになりすぎて、重くなりすぎてしまったかもしれないので、これをあえてアニメーションで作った意義はあるような気がする。

もう少し年齢を重ねてから、もう一度見てみたい。その時、私はどう思うだろうか。

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コクリコ坂から

映画「コクリコ坂から」を見た。
実は、原作になった高橋千鶴のマンガを、昔、なかよしコミックスで持っていて、愛読していたので、イメージを損なうのが怖くてロードショーには行かず、レンタルでも見ていなかった。たまたまテレビで放送があるということで、とりあえず録画しておいたのを見た。

原作漫画とは別の作品として考えた方がよさそう。主人公の設定や名前とかは同じだけれども、おそらく作品が伝えようとしているテーマが違う。漫画の方は、いかにも少女漫画らしい作品だったけれども、映画を見て感じたのは、青春時代のさわやかさとノスタルジー。これは、青春時代は遥か過去になった私の感想だけれども、青春まっただ中の青年たちがこの映画を見た時に、何を感じるのだろうか? ともあれ、よくまとまった、いい作品に仕上がっていたと思う。

この映画のDVDのレンタル開始少し前に、渋谷のTSUTAYAの上の方の階からエレベーターに乗ったら、エレベーター内のスクリーンでこの映画の予告編を流していた。10人ほど乗っていたそのエレベーターが途中の階で止まって、女子高生が二人、エレベーターに足を踏み入れたちょうどその時に、絶妙なタイミングで予告編が終わり、最後に汽笛の音がボーッと鳴った。二人は顔を見合わせて「いやだあ。そんなに重くないのに」と言って、そそくさと降りていった。…いえいえ、今のは重量オーバーの警告音ではなくて、映画の予告編の効果音…と言ってあげる間もなく、扉が閉まってエレベーターは動き始めた。

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英国王のスピーチ

映画「英国王のスピーチ」をDVD視聴した。
今のエリザベス2世の父ジョージ6世を描いた映画。王の吃音について取り上げて描くのは、昔だったら考えられないことだっただろうなと思った。言語療法士として王を支えたローグとの交流、つっかえることなく無事に第二次世界大戦の開戦のスピーチをこなすことができるまでの苦労を、丁寧に描いていて、とてもいい作品だった。

第二次世界大戦の時のジョージ6世のスピーチや、ずっと疎開せずに家族でロンドンに留まり続けたことで、英国民から非常に敬愛されたこと、家族をとても大切にしていたことは知っていたけれども、吃音があったことは、この映画で初めて知った。
私も本質的には人見知りで、ほんのちょっぴりだけど吃音があるので、とても親近感を覚える。平民ならば、人前に出る職業を選ばなければ、人前で話をするプレッシャーからは逃れられるけれども、国王ともなれば、公衆の前でのスピーチは避けられない。たとえそれが、原稿を棒読みで読み上げるだけだとしても。在位中、そのプレッシャーと戦い続けたジョージ6世の勇気と責任感に敬服する。

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キサラギ

映画「キサラギ」を、DVDで見た。
D級のアイドルの一周忌をするために、ネットで知り合った男性ファン5人がオフ会を開催。
自殺と言われていたそのアイドルの死因を追及していくうちに、意外な真実とそれぞれの素性がわかってくる。
とても舞台にむいている脚本・演出で、次回はぜひ舞台で見たい。でも、映画の出来もなかなかのもの。
小栗旬、香川照之など、5人の出演者がいずれも演技達者ですばらしい。

5人がファンをしているアイドル(死んでしまったけど)が、顔はかわいいけれども、歌はドヘタで、ほかにも特にこれといった取り柄なしで、消えてしまっても全然おかしくないアイドルなのに、映画の最後の部分で、往年の舞台(を隠し撮りした)映像を見ながら、(下手な)アイドルの歌にあわせて、ものすごく真剣に「ミキちゃん」と声援を送りながら踊りくるう5人の男の姿がおかしかった。
はたから見ているとヘンな光景だけれども、誰かに夢中になるって、こういうことよねと親近感を抱きながら見てしまった。
歌が下手だろうが、演技力不足だろうが、絶対に好きなのはその人で、もっと歌の上手い誰かさんや演技達者な誰かさんとは交換不能なのだから、ファンの気持ちとは不思議なものだと思うけれども。わかるな。その気持ち。

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レオニー

映画「レオニー」を見た。
彫刻家イサム・ノグチの母、レオニー・ギルモアを描いた映画ということだけれども、映画としての出来は、可もなく不可もなくと言ったところか。
前半、3つの時期を画面を切り替えつつ、行ったりきたりするところが、少々わかりにくかった。
中村獅堂が、身勝手なオトコを好演していて、なかなかうまいキャスティングだったかも。

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奇跡の夏

パク・チビンくんが、主演賞をとったという、「奇跡の夏」(原題:アンニョン ヒョンア Little brother)を見た。
脳腫瘍に冒された兄と、やんちゃで元気一杯な弟、兄と同じ病気で入院していた男の子のひと夏の話。
ものすごい傑作というわけではないけれども、押し付けやお涙ちょうだいではない、自然なつくりが好感を持てる作品だった。
弟の目線から描いてあって、その子が型通りのいい子ではなくて、その年齢の子どもらしいやんちゃさを持っていて、時には行き過ぎたいたずらをするところが、自然で好感を持てた理由なように思う。
その、やんちゃな弟役をパク・チビンくんが演じているのだけれども、この子は本当に演技が上手い。
セリフがないシーンでも、表情や演技がとても自然でよかった。

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ベンジャミン・バトン

映画「ベンジャミン・バトン」をDVDで見た。
ブラッド・ピットの映画では、久々に私好みの映画の予感がしたので、本当はロードショーの時に見たかったのだけれども、いろいろな事情で、けっきょく見そびれていたもの。

老けの特殊メイクが話題になった作品だったけれども、ストーリーもなかなかいい。
老人で生まれて、どんどん若返るという設定自体が、自然に反しているので、ありえない話なのだけれども、気持ちの流れはとても自然だった。
出演者たちの、抑えた演技がなかなかいい。

ブラッドのなんとも言えず綺麗な瞳がアップで何度も見れて、往年のファンとしては、なかなかおいしい映画だった。
今でも、やっぱり好きだということを、再認識してしまった。

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プラダを着た悪魔

映画「プラダを着た悪魔」を見た。
韓国ドラマ「スタイル」は、韓国版「プラダを着た悪魔」などと言われていて、興味があったから。
確かに、主演の女性の設定などは、よく似ている。
でも、ラストや展開が違う。
そして、私はこの「プラダを着た悪魔」の方が気に入った。
主人公の選択した道、成長していく方向が。

それにしても。
メリル・ストリープは、本当にすごい女優だと思う。

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ノーボーイズ、ノークライ

GWで普段よりも時間がとれるし、DVDをタダで1本レンタルできるだけポイントがたまったので、かねてから目をつけていた映画「ノーボーイズ、ノークライ」を借りてきて見た。
ロードショーの時に、見たいと思いつつも見そびれた映画。
日韓合作映画で、韓国の俳優はハ・ジョンウ。日本の俳優は妻夫木聡。
脚本が少々甘めな気もしたけれども、なかなかいい映画だった。
主演の二人の演技が上手い。
セリフがないところの演技や間の取り方も、とてもいい。
そして、泣く妻夫木くんが、かわいくていとしかった。

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