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Medal Winners Open

女子シングルは、やはり若い人ほど強いのだと、つくづく思った。もちろん、今日優勝したジョアニー・ロシェットはすばらしい演技だった。スルツカヤも、年齢を考えたら愕然としてしまうくらいすばらしいスピードで滑っていた。でも、やはり迫力が現役選手と比べると、全く違う。

男子の方も、現役選手と同レベルの技術を維持しているのは織田くんくらいで、他の人たちはさすがに現役時代と比べれば、体力・技術の衰えは感じた。でも、それを補ってあまりある表現力があるし、女子のように妊娠・出産によるインターバルはないので、いろいろな意味で成長もあって、しっかり見応えのあるパフォーマンスができていたように思う。
本田くんは、もともと柔軟性のある選手ではないので、ジャンプが決まらないとアピールポイントが少ない。でも、イーグルは本当にすばらしい。
ジョニーウィアーは、ジャンプがどうの、スピンがどうのというのは、本当にどうでもよくなってしまうのがすごい。ジョニーの世界にいつの間にか引き込まれてしまう。演技が終わって、アリーナ席のお客さんから白バラの花冠と大きな花束をもらっていた。キスアンドクライに座っていた姿は、かわいらしかった。この人は、性別を超えているので、「男子」シングルというくくりで語るのは、なんだか不思議な感じがする生き物がそこにいた。
ジェフは、相変わらず音を無駄なく拾ったすばらしい演技をしていた。ウィアーとは違う方向で、正しく「男子シングル」の演技として、それはそれば美しい演技だった。
ライザチェックの演技は、本当に久しぶりに見た。この人も、身長はすごく高いのに、美しいスケートをする。
織田くんは、6分間練習の時から、見事なジャンプをきめたのを見て拍手をおくってくれているプルシェンコに気づかないほどの超緊張状態。それでも、それはそれは美しい3アクセルを決めていたので、観客からため息と拍手がわき起った。演技直前に、いつもの「おだくーん」の人が声をかけてくれて、観客は「待ってました」という雰囲気に。今日は「アディオス・ノニーノ」の試合バージョン。冒頭で4トゥー3トゥの、それはそれは美しいコンビネーションジャンプを決める。次に跳んだ3アクセルは、着地はOKだったけどフェンスぎりぎりでステップアウト、最後の3ルッツは回転は足りていたけどこれもフェンス際つまって、尻もちではないけれどしゃがんで手をついてしまったので転倒扱い。それでも3つのスピンはどれも素晴らしい出来栄えで、ステップでは手拍子がおきた。「アディオス・ノニーノ」は、一年間通じて滑り込んできて、すてきなタンゴに仕上がっているけれど、織田くんの演技らしく、このプログラムも見ていて青年の哀愁を感じる。こんなに高い技術力を維持しているのに引退しちゃってもったいないという思いもあって、今日の演技は途中から切なさで胸が痛かった。
最終滑走者は王者プルシェンコ。王者の滑りや振る舞いは、さすが。3アクセルを2回決めての貫録勝ち。
表彰式の後で、場内一周している時に、プルシェンコの後ろを2位だった織田くんが滑っていく姿は、なにやら見慣れた「舎弟」姿。あっちにもこっちにも、頼れるいい「アニキ」が沢山いるね、織田くん。

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