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共感とは

韓国ドラマ「パパ3人、ママ1人」で、認知症で施設に入っている父親のことを、「今はあんなだけど、いい父親だったんだ」と言うスヒョンに、金持ちお嬢で苦労知らずの婚約者が「わかるわ」と安易に言ったら、即座にスヒョンは「わからないよ。だから、誰にも父のことを話さないんだ」と言ったので、そうだよね、私も同感、と思ってしまった。
どんなに仲のいい相手でも、相手の思っていることや気持ちを100%「わかる」「同じ気持ち」なんて、ありえない。思いが深ければ深いほど、強ければ強いほど、他人がはかり知ることはできない。うわべだけの「わかる」発言は聞くも腹立たしい。聞きたくないから自分も安易には言わないようにしているのに、どうしても心の底から共感できないことを「わかって!」と迫られて困ったことがある。気楽に「わかる。わかる」と言ってもらうのが好きな人だったようなので、「わかる」と言ってあげた方が親切だっただろうか。それとも、考え方に賛同できないから「わからなくていいと思っている」とはっきり言ってあげた方が親切だっただろうか。
「何か助けになれば」。言う方は善意で言っているのだろうけれども、「助ける」と考えた段階ですでに同じ目線の高さではなくて、自分が上に立っている。苦しい時に、さりげなく心の支えになってくれたあの人この人を想うと、「善行をしよう」という思いも気負いも全くなく、ただただ相手(私)の気持ちを大切に尊重してくれたことに思い当たる。具体的にその人がしてくれたことやその結果が重要なのではなく、同じ目線の高さに立ってそっと心を寄せようとした気持ちがありがたかった。感謝。

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