全日本選手権 余話2
男子表彰式でのこと。
表彰式が終わり、写真撮影が終わって、選手たちが場内をウィニングランする時になったら、ドドドドとすごい音が轟いた。
何事がおきたかと思ったら、アリーナ席の人たちが、フェンス際まで大移動した音だった。
どうやら、アリーナ席の床は即席の板張りだったよう。
お願いだから、踏み抜かないでね。
女子の表彰台と、代表選手発表後にも、同じ現象がおきたけれども、今度は驚かなかった。毎回、音がおさまった後で、床を踏み抜いた人はいなさそうでよかった、とは思ったけれど。
最近、わりとみんな簡単にスタンディングオベーションをするなあ、というのが私の感想。
私の基準は、まずはパーフェクトな演技。たとえ織田くんでも、ミスがあったらスタンディングオベーションはしない。
もっとも、ミスがあってもスタンディングオベーションをすることがないわけではない。
例えば、4年前の代々木の全日本選手権での本田くんのフリー。国内でアマチュアとして最後の試合だと思ったら、それまでの試合が走馬灯のように頭に浮かんできて、滑り終わった瞬間に思わず立ち上がっていた。我にかえって、まわりを見回してみたら、立っていた人がいっぱいいたので、同じ思いだった人も多かったと思う。
今回の高橋くんのフリーも、ジャンプの着地ミスがあったのはわかっていたけれども、まわりの「お帰りなさい」の思いに促されるように、思わず立ち上がっていた。
明子ちゃんのフリーは、いきおいで立ち上がって、夢中で拍手を送った後で、あ、途中で転んだっけ。と思ったけれども、そんなことは関係ないくらい、スタンディングオベーションに値するすばらしい演技だった。
代表発表の時。
オリンピック代表に決まった選手がリンクに一列に並び、一言ずつコメントを言った。
女子の安藤さん、明子ちゃんは、普通にコメントを言っていたけれど、真央ちゃんの番になった時に、妙に慣れた感じで「みなさん、こんばんは。浅田真央です」と言った。会場内が笑いでどよめいた。
次にマイクを受け取った小塚くん。同じような調子で「みなさん、こんばんは、小塚崇彦です」・・・再び会場内は笑いでどよめいた。
小塚くんが話している横で、こそこそと何か話し合う高橋くんと織田くん。小塚くんからマイクを受け取った織田くんが、「みなさん、こんばんは。織田信成です」と言ったところで、コメントを言うパターンは決まった。
それから後の全員が同じパターンで話しはじめ、その度に会場内に笑いが広がった。
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