満員電車の中で
数日前、電車の中でのこと。
ドアのすぐ横に立っていたら、電車が大きく揺れた。
半歩、後ずさりしたら、そこに他の人の足があった。
踏みかけて、足があることに気づいたので、かかとを浮かせた状態でこらえて止めて、足を前に戻した瞬間、後ろから「私は障害者です。気をつけてください」と言われた。
振り返ったら、私より年上に見える女性が立っていた。
私は、彼女の足を「踏んだ」わけではない。「踏みそうになった」というのが正しい。しかも、悪意があったわけではない。電車が揺れたことによる不可抗力によるものだ。
私は彼女が真後ろに立っていたことは知らなかった。人は後ろには目はついていないのだから。
履いていた靴も、私はペタンコのヒールの全くない靴、相手も甲のかぶったしっかりした靴だった。
その女性は、次の駅で足早に降りていった。
そして今、私は彼女がどんな「障害」を持っていたのだろうと、首をかしげている。
スタスタと歩き、あっという間に視界から消えたので、足の機能に問題はなかったことは確かだ。
降りる駅も、電車がホームに入る前に車内アナウンスで認識できていたので、耳も普通に機能していた。
階段と階段の間に止まったことに、少々腹を立てながら、階段に向かって歩いていったので、目も問題なく見えていた。
両手に物を持っていたから、手の機能にも問題はなかった。
身体的に特に障害がなかった人に、しかも「足を踏みそうになった」だけで、私は何故大きな声で咎められなければならなかったのだろう?
満員電車の中で、体勢不十分の中で、真後ろに立っていた人に、どんな配慮をしなければならなかったというのだろう?
「障害者」の「権利」とは何だろう?
そんなことを考えて、すっきりしない気分で始まった一日だった。
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